英国政府、気候変動対策に係る新政策「10-Point Plan」を発表
2020年11月18日、ボリス・ジョンソン首相は「グリーン産業革命」を推し進めるための新政策「10-Point Plan 」を発表しました。
クリーンエネルギー(洋上風力、水素、原子力)・電気自動車(EV)の増強、路上交通や航空・船舶の脱炭素化、住宅のグリーン化、CO2の回収貯蔵、植樹、技術革新・投資等の10項目に対し、120億ポンド(約1兆6千億円)を投じ25万人の雇用創出・支援を図ります。
10項目の概要は以下の通りです。
10項目概要
1. 洋上風力:
国内全家庭に洋上風力発電による電力供給を行うため、洋上風力設置容量を2030年までに40GWに拡大、また、最大6万人の雇用を支援。
2. 水素:
2030年までに低炭素の水素生産能力を5GWに拡大。2030年までに完全水素で電力・熱供給される水素タウン開発を目指す。最大5億ポンドを支援。
3. 原子力:
クリーンエネルギー源として原子力発電を推進。大規模発電所・小型モジュール炉(SMR)・先進炉の開発、1万人の雇用を支援。5億2500万ポンドの支援投入。
4. 電気自動車(EV):
自動車製造拠点を支援し電気自動車への移行を加速。当初計画より10年前倒しを行い、2030年までにディーゼル車・ガソリン車の新車販売を廃止。ハイブリッド車については2035年に販売を廃止する。
道路輸送において、世界主要7か国初の脱炭素化国家を目指す。
支援額は次の通り
- EV充電設備の普及やインフラ整備に13億ポンドを支援
- ゼロ排出車(ZEV)および超低排出車の購入者に対し総額5億8200万ポンドの補助
- EVバッテリーの開発・拡大生産支援のため今後4年間で約5億ポンドを投入
5. 公共交通機関、サイクリング、ウォーキング:
公共交通機関のゼロエミッション化と自転車道路や歩道の整備に支援を投入し、より快適なサイクリングとウォーキング環境へ。
6. ジェットゼロ・海運技術のグリーン化:
ゼロエミッションの航空機・グリーンな船舶に向けた技術開発支援を行い、脱炭素化が困難とされる産業をより環境に優しいものへ。2千万ポンドの支援を投入。
7. 住宅と公共建物:
2030年までに5万人の雇用を創出し、2028年までに毎年60万台のヒートポンプ設置を目指す。住宅、学校、病院をより環境に優しく、より暖かく、よりエネルギー効率の高いものへ、住宅グリーン化に10億ポンドを投資。
8. 炭素回収:
有害な排出物を大気から回収して貯蔵する技術において世界的リーダーの地位を目指し、2030年までに10MTの二酸化炭素除去を目標とする。2030年までの国内4カ所の炭素回収クラスター開発に向けて2億ポンドの追加支援をし、炭素回収産業へは総額10億ポンドの支援投入となる。
9. 自然:
自然環境保護および回復に向け、年間3万ヘクタール相当の植樹を行い、雇用創出・維持を支援。
10. イノベーションと金融:
グリーン産業革命・クリーンエネルギー開発に向けた最先端技術を生み出し、ロンドンをグリーンファイナンスのグローバルセンターへ。
グリーン産業革命に向けた“10-Point Plan” (10ポイント計画)の発表をもって英国の「実質排出ゼロ」への計画が始動、また、英国では来年のCOP26に向けて、雇用を創出しながら排出量を削減する更なる計画が予定されています。
また、12月14日に上記の政策を基に発表された英国のエネルギー白書では、2050年までにネットゼロ達成を目指す目標に沿う長期的戦略を策定しています。