英国産家きん肉、日本市場が輸入解禁へ
英国産家きん肉が日本の食卓に。5年間で推計最大6500万ポンド (約98億5270万円)の商機拡大との業界予測。
英国から輸出される家きん肉の日本市場での受け入れが解禁されることになりました。英国の畜産事業者、生産者、輸出業者にとっては、世界第3位の経済大国である日本への新たな進出の機会が創出されることとなります。業界の算出によりますと、日本政府との今回の合意が生み出す価値の年間推計額は最大1300万ポンド(約20億円)におよぶということです。
日本は厳格な食品安全基準と輸入管理体制を持つ国として世界的に知られており、また、質が高いさまざまな部位の食肉への嗜好性が高いことでも有名です。そうした日本市場で英国産の家きん肉および加工品の輸入が解禁されるということは、英国の家きん肉生産方法の水準が高いことを示すものです。
日本では家きん肉類の消費量が増加しており、また、信頼性の高い魅力的な新商品への関心が高いことから、日本は英国の家きん肉輸出事業者にとって新たな進出市場として重要でありまた有望であるとみなされるようになってきています。
英国食糧担当政務次官(Food Minister)のヴィクトリア・プレンティス(Victoria Prentis)は次のように述べています。
「我が国の家きん類はきわめてすばらしい味わいを持つとともに質も高く、世界中で高い評価を得ています。また、国内全土にわたり、畜産事業者や生産者がアニマルウェルフェアと食品の安全性における高い基準を満たしていることでも知られています。
日本には、すでに豚肉、牛肉、ラム肉などの多岐にわたる英国産食品をお届けしていますが、それにくわえてこれからは、英国特産の家きん肉も召し上がっていただくことができます。
英国の農産食品業の新たな市場開拓に向けて私たちは懸命に取り組んできており、今回の解禁は、英国の家きん肉産業にとって非常に大きな機会となるものです。
英国と日本の政府当局間では、これまで4年間にわたって、具体的な家畜衛生条件の合意に向けて複雑な交渉を重ね、それにより今回の解禁に至りました。この成果は英国全土のサプライチェーンのあらゆるところにメリットをもたらし、また、英国の畜産事業者にとっても新たなチャンスをもたらすものとなるでしょう。」
英国国際通商担当政務次官(Minister for International Trade)のラニル・ジャヤワルダナ(Ranil Jayawardena)は次のように述べています。
「英国全土の畜産事業者や食糧・食品生産者が、世界第3位の経済大国である日本という新たな市場に初めて家きん類の輸出ができるようになったのはすばらしいことです。
日本との間には、英国の優れた食品・飲料品産業が新たな販路を獲得できるようにするとともに両国間の貿易の促進を図る協定があり、本日発表された内容はその協定に基づいて成し遂げられたものです。両国間の貿易取引額は、2020年1年間だけでも240億ポンド(約3兆6357億円)を超えています。
これこそが「グローバル・ブリテン」の実現、つまり、英国の優れた企業に新たな市場への進出機会をもたらし、不要な貿易障壁を排除し、英国のすべてにわたって新たな機会を創出するものです。」
英国次席獣医務官(UK Deputy Chief Veterinary Officer)のリチャード・アーヴァイン博士(Dr Richard Irvine)は次のように述べています。
「英国の家きん肉業界にとって大きな成果が達成されました。これにより、英国の輸出業者には家きん肉の海外での需要をさらに取り込む機会がもたらされます。
また、両国間の既存の協定により英国産の豚肉、牛肉、ラム肉はすでに日本に輸出されていますので、それにくわえて今回の解禁により、両国の通商関係のさらなる強化に向けた前向きな一歩がさらに踏み出されたことになります。」
国際食肉輸出入協会(The International Meat Trade Association)CEOのケイティ・ドハーティ(Katie Doherty)は次のように述べています。
「英国産の家きん肉の日本への輸出が可能になったことは、当協会としてもたいへん喜ばしく思います。今回の発表は、当協会の会員やその他の英国の輸出業者各社が日英包括的経済連携協定(CEPA: the UK-Japan Comprehensive Economic Partnership Agreement)に基づく関税軽減措置の適用を受けられるようになることを意味します。同協定に基づき、カットした冷凍鶏肉に対する関税は、平均10%から免除へと、複数年にわたって軽減されていきます。英国環境・食糧・農村地域省が交渉により今回の解禁を可能にできなければ、政府が確保したこうした関税軽減の恩恵を英国の輸出業者が受けることはできなかったでしょう。
これは、英国家きん業界と連携した政府と当局関係者の尽力がなければなしえなかったことですので、すべての関係者に心より御礼申し上げます。当協会も、英国産品の新たな輸出先の拡大に向けて今後も取り組んでまいります。」
英国家きん協議会(The British Poultry Council)チーフ・エグゼクティブ(Chief Executive)リチャード・グリフィス(Richard Griffiths)は次のように述べています。
「英国家きん協議会は、世界第3位の経済大国である日本市場への英国産家きんの輸出が可能となったことを歓迎します。当業界は、政府と緊密に連携して、ワールドクラスの水準を満たす、安全で、価格も手ごろで、栄養価の高い食品を生産している英国の家きん肉事業者に対して、新たな販路を開拓し機会を創出するべく取り組んできました。今後も、英国産家きん肉を世界中のあらゆる食卓に提供できるよう新たな市場の開拓に取り組んでまいります。」
2020年10月、英国と日本は日英包括的経済連携協定(CEPA)に正式署名し、現在、同協定は発効しています。
この協定では、英国産物品の日本への輸出の99%について複数年経過後に関税が免除されるという点で英国企業にとっての利点が確保されています。政府の分析によりますと、日本との貿易による英国経済への影響を、両国間の協定が存在しない場合と比較すると、協定があることで15億ポンド(約2276億円)のプラスとなり、また、英国の労働者の賃金も、同様の比較において、長期的には8億ポンド増(約1213億円)となるということです。
「オープンドア」キャンペーンは、新しい強力な貿易推進施策であり、英国が独立した貿易国として進むべき道を描いていくなかで、英国企業が海外において新たな機会を開拓していくことを推進するものです。
今回の英国産家きん肉および加工品の輸出に関する家畜衛生条件は、英国環境・食糧・農村地域省と日本の農林水産省の間で2021年5月に合意されました。これにより、2021年6月に輸出のための衛生証明書の合意、そして最終的な市場開放に至りました。
協議は、英国環境・食糧・農村地域省が主導し、駐日英国大使館の支援と国際食肉輸出入協会および英国家きん協議会の協力を得て行われました。